膝の痛みの原因は半月板ではない
立ち仕事による足の疲れを感じていたところ、昨日から急に左膝の痛みが生じるようになったとのことです。
また、過去に半月板の奇形を指摘されたことがあり、その影響についても気にしておられました。
というわけで、今回は膝の痛みの原因について、症例を交えて解説していきます。
膝の痛みの一般的な解説
膝の違和感や痛みの原因は、
- 半月板の変形・奇形
- 軟骨がすり減っている
など、膝の構造異常にあると言われるケースが多いようです。
これは膝の痛みに限ったことではなく、
骨や軟部組織の変形・姿勢不良といった構造異常が痛みを引き起こすという考え方は、日本の医療業界において主流となるものでしょう。
構造異常による膝痛は10%未満!?
半月板や軟骨の構造異常がヒザの痛みの根本原因となっているケースは10%にも満たないと感じています。
その根拠は大きく分けて2つあります。
①痛みがないときもある
にも関わらず、実際のケースにおいては痛みが出たり引っ込んだりする方がほとんどです。
膝の痛みがあるときとないときで、半月板や軟骨の状態がコロコロ変わっていると考えるよりも、何か別の原因があると考えるほうが違和感がありません。
②急に痛くなるケースが多い
もし半月板や軟骨の異常が原因であれば、それまで問題なかった半月板や軟骨に突然トラブルが生じたことになります。
もちろん、そういったケースもあるでしょうが、それは生まれつきの奇形や加齢による変形というよりは外傷的なものです。
急に膝に大きな力が加わったわけでもないのに痛みが生じるケースが多いことからも、膝の痛みの原因が半月板や軟骨の構造異常という考え方には疑問が残ります。
もちろん、レントゲンやMRIなどの画像診断で明らかな構造異常が認められている以上、何らかの影響がある可能性は否定しませんが、軟骨や半月板のトラブルは膝の痛みの根本原因ではないと考えています。
原因①―筋肉が弱っている
ただし、これは加齢や運動不足によるものではなく、ストレスやアレルギーなどの影響で一時的に筋肉の調子が悪くなっている状態です。
ヒザの筋肉が弱ると、本来なら問題ない程度の運動でも大きな負担となり、膝の痛みに繋がると考えています。
原因②―重心の偏り
たとえば、左右の重心が偏ると、片方の膝への負担が増すことになり、これが膝の痛みに繋がると考えられます。
解決のために必要なのは、全身を含めた重心の偏りを解消することです。
ケース①は「ヒザ↓<負担」、ケース②は「ヒザ<負担↑」となっており、解決へのアプローチは異なりますが、問題の本質は同じです。
膝の痛みへの施術
立ったときの重心が、
- 外側重心
- 全体に右重心
となっていました。
つまり、膝の痛みの原因は「半月板の奇形」ではなく、重心の偏りからヒザの一部に過度な負担がかかったことにあると考えられます。
①はノドの問題、②は腰の問題だったので、それぞれを解消して重心の狂いを調整したところ、立ったときの足裏の感覚に変化がありました。
その後、2週間ほどしてから様子をうかがったところ、立ち仕事が続いても膝の痛みが出なくなったと喜んでおられました。
この事例からも、半月板の奇形が少なくとも膝の痛みの「根本原因」ではないということがわかると思います。